ある会社でのインタビューの一部を紹介Part1

◆働く意義は年代とステージによって変わっていく

質問者:星さんは、何のために働いていらっしゃるんですか?

 

星さん:最初のうちは、年収や自分のポジションがひとつの評価だと思っていました。

高い年収を目指し、チャンスを取りに行き、マネージャーの次は事業部長、その次は社長になりたい、とステータスを目指していました。

それを続けるうちに、当然任せられる領域や組織が大きくなります。

5人でやっている仕事と1,000人でやっている仕事では、全然スケールが違います。

そこで、面白みを覚えたのが組織マネジメントです。

大きい組織では自分の言ったことが、さざなみのように伝わり組織が動いていく、ダイナミズムがあります。

そこに面白みを覚えていたので、大きい仕事をしたい、トップにいきたいと、そればかりに固執している時期がありましたね。

 

質問者:ステータスを目指されていたのは、何歳くらいまでだったんでしょうか。

 

星さん:2018年にAmazonを卒業するまでの50歳くらいまではずっと「お金」と「ステータス」でした。

海外では、バングラディッシュ、スリランカ、フランス、ルーマニア、タイの現地法人社長を務め、Amazonには事業部長で入社し、10以上の事業部を統括するディレクターになり、役員になり、米国本社に直接レポートをするマーケットプレイス、B2Bのカントリーマネージャーにまでなりました。

最初は、自分の管掌範囲の売り上げが80億だったんですが、最終的には1兆円になり、部下も5人から800人になりました。

Amazonを退職した現在は、コンサル会社を設立し自分の経験を生かして、「手伝ってほしい」と頼ってくれる会社の成長に貢献し、日本の会社を世界で戦えるレベルにすることに力を注いでいます。

また、ORD以外にも4社の社外取締役や相談役として定期的なアドバイスをしています。

ですので、今は「お金」や「ステータス」ではなく、自分を必要としてくれる会社に、自分がワクワクする会社に「貢献」したいですね。

働く意義は年代とステージによって変わっています。

◆いまは名刺交換しない人間関係が心地よい

質問者:コロナ禍で、静岡県伊東へ移住されたと伺いました。どういった心境の変化がありましたか?

 

星さん:海外に住んでいる期間も長かったのですが、少し前までは東京のタワマンの高層階に住んで階下を見下ろしながら生活するのがひとつの成功の証だと思っていました。

ですが、価値観はずっと同じではないんですよね。

コロナという環境下や自分の年齢などもあり、価値感もどんどん変わっていきました。

東京にいる意味や、タワマンに住む意味についても変化し、今はそんなことには魅力を感じていません。

あと、人脈についても言えますね。

東京にいると同じような人に出会うんです。

企業のトップ、向上心がある人、常にギラギラしている人とかですね。それはつまらない。

伊東へ引っ越した後の人脈は、釣りやヨットで知り合うなど、全然違う人脈です。

実はあとから、すごい仕事をしている人、していた人だとわかったりするんですが、まったく名刺交換なんかしないんです。

「私、こういう会社のものです」という挨拶ではなく、「昨日、何釣れたんですか?」、「今日は風がセーリングに最高だったんじゃないですか?」みたいな会話から始まります。

こうして知り合った地域の人たちに対しても貢献したいと思っています。

日本の会社を元気にしたい、地域に貢献をしたいと、価値観が変わってきています。

 

◆常に憧れや目標となるパパでいたい

質問者:大きな価値観の変化ですね。

 

星さん:自分に余裕ができないと、人に尽くしたり、優しくすることはよっぽどできた人間でないと難しいと思っています。

私はいま55歳で、他の人より少し長く働いたので、それに比例して余裕ができています。

子どもも26歳と23歳となり手がかからない。

そうすると精神的、時間的にも財力的にも、そういった境地に入っていくんだと思います。

それは僕だけではなくて、僕の周りにはそういう人が多いんです。

 

質問者:たしかに、私も余裕がある時しか子どもに優しくできないです。

 

星さん:根本的には同じ話です。

余裕を生み出すために、時代や環境に合わせて生き方を変えていいと思っています。

目的を持って、その目的に向かってまっしぐらに進むやり方を否定はしません。私もそうでした。

ですが、臨機応変に朝令暮改的に方向性、目的、生きる意味を考え直す柔軟性は、人生でもキャリアでも、すごく重要だと思います。

 

質問者:私は、自分の子どもにたくさんの経験をさせたいので、そのために働いているんです。

 

星さん:いいことですね、僕も子どものこともすごく考えてきました。

親として子どもが「何かやりたい」と言ったときに、やらせてあげる余裕を持っているのが、自分のテーマではあります。

結果、高校も大学も本人たちが行きたい海外の学校に行かせることができたし、例えば、乗馬をやりたいとか、ピアノを習いたいとか言った時にやらせることができました。

金銭的にもそうですが、子どもの自慢の親でいたいですね。

内面だけではなく、外見的にも子どもの前で恥ずかしい格好を見せたくないので、太らないだけではなく筋トレで身体を鍛え上げますし、ファションにも気を配ります。

常に憧れのパパでいたいですね。

 

質問者:すごくわかります!

 

◆土日は釣り三昧。船も冷蔵庫も購入

質問者:プライベートについても、少し伺わせてください。

プライベートでは、何に一番時間を使っていらっしゃいますか。

 

星さん:最近は、釣りですね、中古ですが、船も買いました!

係留費も東京では考えられないくらい、伊東だと安いんですよ。

釣りは、去年の夏にはじめたばかりですが、最初は本当に没頭していました。

釣り自体も面白いんですけど、そこで仲良くなった人たちと、仕事とは全然違う話をしているのが楽しいんですよ。

質問者:釣りは、伊東に行かれてからはじめたんですか?

 

星さん:はい、それまでやったことはありませんでした。

今も人に教えてもらいながらやっています。

 

質問者:それなのに、船を買ってしまうとはすごいですね。

 

星さん:格好から入るタイプなんです。

あと、料理もします。

釣った魚を自分で捌きます。

それも格好から入るので、いい料理道具を一式買いました。

Amazonのブラックフライデーでは、餌や釣った魚を保存する専用冷凍庫も買いました。

 

質問者:私も最近、格好から入るのって大事なんだなと気付きました。

道具から入ると逃げられないですもんね。

 

星さん:そうですね。

あと、やっている自分がかっこいいから、好きになる。

 

質問者:ますます酔いますね、自分に。

 

星さん:酔います、酔います。

元々「かっこいい」とか、自分で思いたい、言われたいタイプなんですよ。

 

質問者:複数の会社で働かれて、ご自身の会社もお持ちだと思います。

多忙なスケジュールをぬって楽しまれているんでしょうか?

 

星さん:そうですね、基本は、土日ですね。

アクティブ派なので、家にいることはないですね。

あとは、町おこしのサポートで、静岡県と伊東市の行政の手伝いもはじめています。

 

質問者:町おこしのサポートまで!!本当にアクティブですね!